
■歯周病の原因
歯周病の原因にはお口の中の部分的な原因と体全体の全身的な原因があげられます。お口の中の部分的な原因としては、虫歯の原因と同くプラーク(歯垢)があげられます。お口の中にはおよそ300~500種類の細菌が住んでおり、歯みがきが充分でなかったり、砂糖を過剰に摂取するとその細菌がネバネバした薄い膜(バイオフィルム)を作り出し、歯の表面に付着します。これを歯垢(プラーク)といい、うがいなどでは簡単に落ちず、放置しておくとどんどん菌が増殖していきます。プラーク(歯垢)1mgの中には、10億個の細菌が住み着いているといわれ、長い間放置されると、石灰化して硬い歯石(プラークの死骸が石のように硬くなった状態)と言われる物質に変化し、歯と歯の間や歯と歯ぐきの間に強固に付着します。歯石になってしまうと、自分では取り除くことができないため、歯科クリニックで特殊な専門の器具(スケーリングやルートプレニング、PMTCなど)を用いてしか除去することしかできなくなります。更にこの歯石の中や周りに細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けるのです。現在、日本人の80%が歯周病にかかっていると言われています。
次のことも歯周病を進行させる因子となります。
- 歯ぎしり、くいしばり、かみしめ
- 不適合な冠や義歯
- 喫煙
- ストレス
- 薬の長期服用
- 遺伝
- 肥満
- 全身疾患(糖尿病、骨粗鬆症、ホルモン異常)
- 不規則な食習慣
■歯周病ってどんな病気?
「歯周病」は、お口の中の細菌によって引き起こされ、歯を支えている歯肉(歯茎)や歯槽骨に起きる病気の総称です。以前は、「歯槽膿漏(しそうのうろう)」と呼ばれていました。歯茎の周りにプラーク(歯垢)がたまり、細菌に感染することによって歯肉が炎症を起こして腫れ、歯肉炎を起こします。プラーク(歯垢)は歯肉炎だけでなく心臓病や動脈硬化との関わりも推測されています。 歯周病が進行すると歯茎の腫れがひどくなり、歯と歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる隙間ができます。そして、炎症が歯槽骨や歯根膜まで及び、歯茎から膿が出たり、歯茎がやせて下がってきたり、歯がぐらついてきたりします。 歯周病がさらに悪化すると、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、食べ物を噛むことができなくなって、最後には抜歯をしなければいけなくなってしまいます。病変がかなり進んだ状態になるまでは自覚症状がない場合が多いので、歯医者さんで定期的に検診を受けられることをお勧め致します。
■歯周病と全身疾患との関連性
歯周病はお口の中だけではなく、全身疾患との関連性もあります。歯周病と糖尿病、脳卒中、慢性腎疾患、肺炎、骨粗しょう症、動脈硬化、早産、低体重児出産、癌などとの関連性が指摘されております。
重度の歯周病の場合、軽度の人に比べ2年後に糖尿病が悪化している率が5倍高くなります。健康な人に比べ心臓病発症の危険率が2.8倍といわれています。
■歯周病と口臭
歯周病の原因は細菌の塊であるプラーク(歯垢)がたくさんたまっていると、細菌によって硫化水素やメチルメルカプタンなどのガスが発生します。
これが口臭の原因の80%をしめると言われています。
■1つでもあてはまるときは、歯科クリニックの受診をおすすめします
- ①冷たい物や熱い物で歯がしみる
- ②歯みがきの時、歯茎から血が出る
- ③歯と歯の間が離れてきた
- ④歯の長さが長くなった
- ⑤歯茎のフチが赤い、あるいは腫れぼったい
- ⑥歯茎を押したら白いウミが出る
- ⑦歯並びが変化してきた
- ⑧指で押すと、歯が揺れる
- ⑨痛みがある